日高山脈主稜全山表

 狭義日高山脈全山縦走は北の芽室岳から南は楽古岳までと言われる。芽室岳と楽古岳には夏道があり、冬季も含めアプローチが比較的容易である。広義日高山脈全山縦走には北は最北の1000m峰である佐幌岳から襟裳岬を指す事が多いようだ。しかし、佐幌岳の北方にはまだ椎空知山(稚空知山)が尾根上の突起とはいえ残っており、その北で日高山脈は中央高地の高原に没している。日高累層群と深成岩類が大雪山の火山灰(溶結凝灰岩)台地に没する所まで縦走するのが筋を通したいというものだ。一方、南側は最南端は襟裳岬であるものの、楽古岳と最南端の豊似岳の中間付近の美幌岳から、北から続く弧をそのまま延長するように東側に伸び、黄金道路のビタタヌンケ付近の海中に没する支稜の方がはっきりとしており、こちらを日高山脈主稜としたい気もする。ただ、南端の深成岩類の中心はビタタヌンケでも襟裳岬でもなく、庶野集落附近の海岸で海に落ちている。豊似岳〜襟裳岬間は平坦な洪積台地で山脈とは言い難い。

 また「北海道の背骨」縦走の一環として日高山脈が歩かれることもある。稚空知山から十勝連峰、トムラウシ山、石狩岳などを経て宗谷岬に至るものである。日高累層群の稜線を歩き通すなら、北端は宗谷岬でなく斜内神威岬(北見神威岬)になる。


 太字は「採用したい」。△は三角点のあるところ。黄色の枠は既に行ったところ。赤字は鞍部。山名の前の*マークは縦走路以外の1登路達成。*’は1登路達成に準ずるか、みなす。山と認めるに足らないと判断した山は国土地理院の地図で山として表現(しょう肩体表示)されていても書いていない。衛峰(西峰など)の採用基準は主観的で曖昧。標高は三角点も含めて不変のものではなくその時々の地図作成者によって数値が変化するので古い地図から写した標高などをそのまま書いていることもある点をご了承願いたい。「(あまいものこ)」とあるのは仮称。

★主な山へジャンプ ★参考文献
  • 道庁20万図・・北海道実測切図・明治23年頃
  • 輯製20万図・・幕末明治日本国勢輯製二十万分一図・明治20年頃
  • 山系詳図・・日高山脈山系詳図(脚注
  • 日高山脈の全て


椎空知山△942.6
稚空知山(現行地形図)
奥佐幌岳1042
*佐幌岳△1059.6
桜山950.5
狩勝峠644
725.5△
843
狩勝山985.0
1085
ルオマンソラプチ越692
(あまいものこ)

道東自動車道の上
オダッシュ山△1097.7
狩振岳△1328.4 777m峠(あまいものこ)
*双珠別岳△1347.2
林業界の双珠別岳
双珠別岳1389
登山界の双珠別岳
奥双珠別岳(あまいものこ)
┫双珠別JP
部計禮部山(輯製20万図)

1327.9△
オクロク
労山熊見山
熊見山1175
日勝峠1106
*沙流岳△1422.0 *1445
日勝ピーク
日勝岳
日勝峠山

ペケレベツ岳△1532.0
ヌプチミップ岳
ルミナップ岳
北ウェンザル岳1458(山系詳図)
*ペンケヌーシ岳△1750.1
ウェンザル岳△1576.3
高尾山(三角点名)
ウェンザル岳1653
(山系詳図)
幌内山(三角点名)△1695.3
ホロナイ岳
┫1654
ホポロナイ岳?(山系詳図)


1318
*’パンケヌーシ岳1746
芽室岳西峰

*剣山△1205.1
エエンネエンヌプリ
(道庁20万図)

春別岳△1491.8
(支稜の春別岳)
*芽室岳△1753.7
メムオロ岳(道庁20万図)
久山岳△1411.7
キウサン山
(道庁20万図)
*チロロ西峰1848
雪盛山1726
*チロロ岳△1879.9 ルベシベ山△1740.0

1696
1712
*ピパイロ岳△1916.5 伏美岳1792
1967m峰1967
1940峰 1958峰

妙敷山△1731.3

二岐山△1590.8 *北戸蔦別岳1912

帯広岳△1089.0
*中戸蔦別岳1881
*幌尻岳△2052.8
(日高ポロシリ)
戸蔦別岳1959

*カムイ岳△1756.1
神威岳(現地形図)
神居岳
*’エサオマントッタベツ岳1902
*札内JP1869 *札内岳△1895.6
中岳1626.7(三角点名)
ナメワッカ岳△1799.1 滑若JP1831
*十勝幌尻岳△1846.0
勝幌

イドンナップ北東峰1776
(最高峰)
春別岳1855
(主稜上の春別岳)
岩内岳△1497.7
*’イドンナップ岳1752 プリマモンテ1917 南岩内岳1222
1903
カムエク中岳(あまいものこ)

*新冠富士1667 *カムイエクウチカウシ山1979.5

*’ピラミッド峰1853
ピラミッド
1823m峰1826
ピラトコミ山△1587.7
*コイカクシュサツナイ岳1719
コイポクサツナイ岳

シビチャリ山△1626.9 1560
1839m峰1842 ヤオロマップの窓
ヤオロマップ南峰1781 ヤオロマップ岳△1794.3

1599m峰1600
ルベツネ山△1727.3
*ピセナイ山△1027.6
南肩1720
ピリガイ山1167 *ペテガリ岳△1736.2
ペテカリ岳
*ポンヤオロマップ岳△1405.6
ベッピリガイ山△1037.7 *中ノ岳1519
ルートルオマップ岳
ニセポン1483

ニシュオマナイ岳1493 留取岳△1350.4
*神威岳△1600.5
カムイヌプリ(道庁20万図)
神威嶽(輯製20万図)
1468
靴底山
*ソエマツ岳1625
元浦岳1529(山系詳図)
ピリカの窓(あまいものこ)
春別山1293 *ピリカヌプリ△1631.2
ピリカヌプリ山
元浦川山(輯製20万図)
歴舟山?(輯製20万図)
幌別岳1512(山系詳図)
*トヨニ岳北峰△1530.7
*トヨニ岳南峰1493
豊居岳(輯製20万図:水系より推定)
トヨイ岳?1251
*’野塚岳西峰1331
野塚平
*野塚岳△1353.2
双子山西峰1379
オムシャヌプリ西峰
ニオベツ岳(昭和35年地質図)
双子山東峰1357
オムシャヌプリ東峰
孫ピーク1343
(双子山が夫婦か?)
十勝岳△1457.2
ポロシリ(道庁20万図)
*楽古岳△1471.5
オムシャヌプリ(道庁20万図)
マチネシリ?739 小楽古1365

*ピンネシリ957 *ピロロ岳△1269.3
広尾岳(三角点名)
パンケ山
廣尾山(輯製20万図)
吉田岳825.1 幌満岳?1188
*アポイ岳△810.2 広尾峠?
パンケ越え?

斑計山△1221.9(三角点名)
ピロロヌプリ(道庁20万図)
幌満岳?
パンケ山
*広尾岳1231(現行地形図)
チリップ山(輯製20万図)

幌満岳△685.4
オロクンネヌプリ
(道庁20万図)
*美幌岳△1121.4(三角点名)
869
*天狗岳666
ライキウンヌプリ
(道庁20万図)
美幌△1058.0(三角点名)
*袴腰山△872.3
ペタヌシリウトゥル山
(道庁20万図)
*本二観別岳1009

*二観別岳△1005.7

ルチシ山754
オキシマップ山896
オキシカヌプリ
(道庁20万図)

*豊似岳△1104.6
三枚岳1088(庶野の漁師さん)
一枚岳(林相図)
*観音岳932
トヨニヌプリ
(道庁20万図)

三枚岳1012(日高山脈の全て) 970.6△
二枚岳(林相図・日高山脈の全て
庶野の漁師さん)
三枚岳(三角点名)

追分峠161.8
787
*一枚岳
(日高山脈の全て・庶野の漁師さん)
三枚岳?(営林署?)
襟裳岬0

日高山脈山系詳図について

中札内村日高山脈山岳センター蔵。以下、八谷和彦氏の調査報告を転載させていただきました。

 その図は、およそ変形B2版大、縮尺15万分の一、幕別町の土井博詞氏作成でした。一見したところ、線や記号は手書き、文字はワープロ(または一部和文タイプ?)文字を切り貼りし、全体をコピー(白黒)したのち、三角点記号を手書きで彩色したもののようでした。

 標高1000m以上の山名を重点的にチェックしたところ、

  1. 他ではほとんど知られていない山名が10個ほど記載されており、その点では貴重な情報である。
  2. しかし、一方で抜けている山名が5つほどある。
  3. また、現在の一般的な山名と少し違うところが数カ所ある。
  4. そのほか、古い情報による表記、おかしい表記、誤記などと思われる山名が数カ所ある。
  5. 名称を記した山や峠等の位置には全て三角点記号を付けたり、2万5千分の1地形図を“国土地理院刊二十五万分ノ一地図”と表記するなど、三角点や地形図についてあまり知識を持たずに書いたフシがある。
  6. 全体的に考えると、この図は、世の中に広く知られ、資料や文献として扱われるように発行したものではないように考えられる。

 この図を作った土井氏は、大正14年生まれ、平成9年に72才で没。幕別町の農家で、43才の時から下半身不随で車椅子生活となったあと、絵を描き始め、農民画家として馬の水墨画などの優れた業績を残した。若いころ、登山を趣味にしていたり山岳会に入っていたことはなく、絵を描くようになってから、描いた山の名を知らないではいられなくなり、山名を1年かけて調べたという。

(リンクの土井博詞館は閉館中)



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