そえまつだけのちずソエマツ岳の御案内

 私はヌビナイ川右股南東面直登沢からしかソエマツ岳にあがったことがないが、他に二つのルートが有ることを聞いている。

中ノ川北面直登沢(右図青色)

 ヌビナイ右股よりは技術的には楽らしいが、あなどってはいけない。ほとんど河原だが散発的に函が現れるらしい。林道終点からはじめの滝まで、5時間に渡る単調な河原歩きに耐えられるか?この河原歩きが嫌われて、ヌビナイ右股と所要時間はそれほど違わないのに人が殆ど入っていない為、巻き道が発達せずルートファインディングにヌビナイより頭を使うということだ。

元浦川ソエマツ沢〜南西尾根(右図紫色)

 アプローチとなる添松林道はゲートがあって浦河森林管理署に頼んでも鍵を貸してくれない。地図上では林道の分岐から9q強入った所まで林道が書かれているが実際は7.5kmほどのポンウラカワ川出合までしか道の体をなしていないという話だ。そこから5,6q広い河原を遡って尾根取り付きまで来るとソエマツ西峰まで踏み跡があるという。途中二ヶ所函があるが明瞭な巻き道があるという。この巻き道は難コースであるソエマツ沢からのソエマツ岳への登路(日本百名谷)の下降路してあるものだろう。しかし地図では尾根取り付き付近は急傾斜で取り付けるのか疑問だ。また踏み跡とは言っても日当たりのいい南斜面だけに下の方ではネマガリタケがかなり茂っていることだろう。

ヌビナイ川右股南東面直登沢(右上図赤色)ななつがまのしゃしん

 日高一美しいと言われる(日本一、北海道一ではない)沢。流域の岩が真っ白な花崗岩で出来ており、下流の河原の砂利も真っ白で、中流部の七つ釜(右写真)では白い連続する釜に、周りの緑が映し込まれて美景を誇る。この景色にたどり着くまでには大きな函を、足場の狭く高く長いトラバースを何度も繰り返して越えていかなければならない。またトラバースとトラバースの間は滑床の滝の頭の渡渉であることが多く、滑って流されたらかなりまずい。トラバース中に落ちても体が流れの中で引っ掛かれば大怪我で済むかもしれないが、骨折した身で流されて滝に落ちたら命はないかもしれない。トラバースの足場は人が通るたびにちびて、年々歩きにくくなっているという意見もある。

 幕営地になる上二股から先はしばらくはゴーロだがソエマツ岳直登沢に入ると急なナメ滝が連続していて気持ちよく登れるが下降は少々恐い。詰めのヤブ漕ぎは薄い。上二股まで上がる人なら、ソエマツ直登沢のナメ滝もそれほど問題なさそうだが、急なナメ滝が嫌な向きにはピリカヌプリに登って稜線伝いにソエマツ岳に行く方法もある。ピリカヌプリ直登沢は入口に4つ連瀑があって恐そうな感じだがこの滝を全て左から越えていくと後は全部ゴーロである。ソエマツ岳からピリカヌプリまでは5時間くらい。早い記録では3時間。逆にピリカヌプリから来るのは季節風によるハイマツのなびき方の関係でこれ以上に時間がかかるだろう。

 ヌビナイ川右股は明治時代の地図ではカムイシプイ/カムイシムプイペッとあった。kamuy simpuy[神(の)・湧水の穴]で、七ツ釜の景観を指していたのではなかったかと考えてみる。

参考文献
北海道庁地理課,北海道実測切図「浦河」図幅,北海道庁,1893.
北海道庁地理課,北海道実測切図「襟裳」図幅,北海道庁,1893.
知里真志保,地名アイヌ語小辞典,北海道出版企画センター,1992.



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(2002年10月18日上梓 2003年2月11日修正)