札内岳の図
札内岳(1895.6m)
山スキー沢

 易しい沢の殿堂とも言うべき北日高の貴婦人、札内岳に突き上げる第五の沢。ヘンテコな名前だが氷河地形の学術論文にも採用されている。出所は北大山岳部辺りでないかと思う。正確には完全に山頂に突き上げているとは言えず、山頂の350mほど西に詰めがある。ナメ床フリーク向き。


山スキー沢の地図 エサオマントッタベツ川を997m標高点まで遡行する。時折ナメはあるが滝らしいものはない。車道の終点より出合まで約2.5時間かかる。

 997m標高点では右の本流の方が高くなっている。水の量はほぼ1:1で、赤ペンキの矢印のない左が山スキー沢である。しばらくは踏み跡もなく潅木が多く、はかどらない河原歩きだが次第に谷が狭くなって薄暗くなってくると、川岸が切り立っていい雰囲気になり、二条になったF1が見えてくる。

 1100mのF1は左寄りをシャワーで簡単に登れそうだが、この日は水量が多く、気温もそれほど高くなかったので右から巻いた。巻くのも簡単。

 すぐF2があり、ここから上は1400mの二股までほとんど1つのややきついナメ床と言ってよい。途中1200mにF3と言えなくもない煙突状の滝は水の脇を登れる。見上げれば一直線の谷の真ん中で、右に左にと奔放にはじける水流は本当に美しい。F1以降はどう登るか迷いようのない、直登するしかないナメ床が延々と続くので非常に快調に高度を稼いでしまう。ずーっと上まで見えているので「角を曲がって滝になっていたらどうしよう」と言う不安も持ちようがない。

 両岸は高く薄い草付きばかりで、下りで使うにはかなり慎重になりそう。

 エサオマントッタベツ川の本流にも巨大な一枚岩の部分があるが、そこと違ってU字谷の底が細く、V字に近いのでチューブスライダーのようだ。実際転んでみると意外と滑らないものだが。

 1400mの二股は水量の多い左に入り、更に続く小滝を登っていくと、1550mが最後の滝で、その上で突然水がなくなり、後は涸れ沢を登る。

 涸れ沢になってから急に赤テープが現れて少々煩い。また、それほどのヤブと言う事はないのに、近年のものと思われる寝木の切り口が多く見られ、こんなメインルートでもない人の少ない沢で不必要に切らなくてもいいのにと言う気がする。

 1740m付近でついにヤブを漕ぐことなく稜線に出て、ここから南斜面の草原につけられた稜線の踏み跡までの間だけ、10mほどヤブを漕ぐ。

 山スキー沢を形作る両岸の尾根のジャンクションにピンポイントで登りたかったが、自然に登るとずいぶん南にそれてしまった。谷地形に沿って登っている時には分からなかったが、山スキー沢の源頭もポロシリ亜氷期のカールなのだという。


F1

F1とF3の間
大きい写真

F3

F3と
1400m二股の間

 山スキー沢は落差のある直瀑が全くないことから、春に滑ると良いのかもしれない。そしてそれがこの名前の由来なのかもしれない。

参考文献
岩ア正吾・平川一臣・澤柿教伸,日高山脈エサオマントッタベツ川流域における第四紀後期の氷河作用とその編年,pp37-55,109(1),地学雑誌,東京地学協会,2000.



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(2003年10月11日上梓)