大台ヶ原山 尾鷲道 その2 古和谷栃山分岐〜釈仙水〜古和谷林道
南大台の道。大台ケ原からの下りで、初回は古和谷栃山分岐から古和谷左股に下って古和谷林道の終点に出たが、二度目は栃山林道の地蔵峠を経て古和谷林道に歩いてみた。二度目で初めて歩いた古和谷栃山分岐から古和谷林道までを当頁に記す。
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古和谷栃山分岐から地蔵峠までは龍辻越の尾鷲方面から東ノ川の出口への道で、平坦で広い歩き易い尾根道である。新しい目印テープや踏み跡は稜線に忠実に付けられているが、平行している古い道の跡は稜線から少しずれた位置を右に左にと振れている。古い道の跡は古和谷栃山分岐の標柱より10m程上手で古和谷左股に下りる道と分岐している。
稜線の南側は細い雑木林、北側は桧などの植林だが、下るにつれて北側は栂や雑木が混じるようになっていつの間にか植林は見えなくなる。登山道のすぐ脇に栂やブナの大木が現れると尾根が細くなり、傾斜が掛かって下るが短い。細い急峻な尾根に巻きつくように道が掘り込まれている。尾根が切られた林道の地蔵峠の上に出ると左に折れて細く無理やり付けられたような急な踏み跡を下りて、最後は梯子で地蔵峠に下りる。地蔵峠北側一帯は芝生の広場になっている。
掘り込まれた 古い道 |
北側は 桧植林 |
ヒメシャラの 若木の中 |
栂の大木が 現れる |
地蔵峠を 見下ろす |
地蔵峠へ 下りる |
地蔵峠 登山口 |
地蔵峠 広場になっている |
地蔵峠から更に稜線を東へ龍辻越の旧道の跡が残っていて一部に石畳もあるが、古和谷下降点までヤブが深く痕跡すら無い部分もある。林道を辿った方が早い。林道は地蔵峠から尾根の南側を巻くが、すぐに北側に入る。この入れ替わる所でも旧道と交差していて、東側に僅かに入った尾根上の栂の大木の根元に「道しるべ地蔵尊」がある。入口には「地蔵さん」と書かれた小さな標識があり、お地蔵さんまではヤブも刈られていた。木津から登って来て木組・小瀬(小橡)と出口・栃本(小橡)へ道を分ける地点であることを教えるお地蔵さんであった。木組方面からは「はかの峠」である。
林道に戻って尾根の北側をもう少し下ると土場がある。土場を過ぎて道が北側にカーブする所に古い梯子があり、そこから小尾根を少し登って旧道に取り付き、北斜面を緩やかに登って古和谷下降点に向かうが、釈仙水の水場までがかなり不明瞭でヤブが深い。谷の脇などがとりわけ不明瞭で荒れている。林道をもう少し東へ進み、岩盤が露出して水が細々と流れている釈仙水の沢筋から登るのが楽だが、この沢筋から登ってもどこで旧道が横断しているのか分かりにくい。釈仙水の水はかなり細く、水場としてはあまりあてに出来ない。旧道を見つけられれば釈仙水より東側の旧道は次の谷筋の手前で分岐して下手に下りているように見えたり、土が落ちて細くなったりしているが、はっきりしていてヤブも少ないので下降点まで順調に進める。釈仙水以外の周辺の谷筋から尾根を乗り越そうとするとヤブがうるさい。
道しるべ地蔵尊 |
石畳が少しある |
土場の下手に 梯子があるが・・・ |
釈仙水の谷筋 |
尾根を乗り越す地点にはすらりとした杉の巨木があり、尾鷲の街が望める。この杉にはどういうわけか、枝に索道のワイヤが掛けられたり、背比べの為のような横木が幹に打ち付けられたりしている。尾根の南側に入り、杉の巨木の足元を通って平坦で真っ直ぐな道を辿るとすぐに分岐があり、古和谷への下降点である。急峻な山の斜面を緩やかにトラバースしながら下っていくが、次第に道が細くなり不明瞭となる。一つ目の尾根の鼻を回り込むところから、尾根をそのまま下りるように指示する目印テープもあったが、すぐ下で藪になっていた。次の尾根の鼻まではあまり下らないトラバースで、本当に古和谷に下り付くのか不安になる。次の尾根は緩やかで広い尾根で歩きやすく、鼻からこれを下りる。標高820m付近で右に折れて谷に近づくが、谷底までは下りずに左に折れてまた急峻な斜面をトラバースで下る。周りは上の方の植林と異なり細い木が多くコシダのヤブが多い。標高700m付近で、やや高い大きな木橋で谷を渡るが、橋は崩壊寸前だった。橋が渡れなかったら藪を掴んで斜面を下りて谷を渡ることになるだろう。谷に水は無かった。
橋より下でまた尾根上に出る。急な尾根でジグザグに下りていく。地形図にある稜線上の杉の巨木の所に直接登り付く歩道を途中で横断していることになるが、そうした道の雰囲気は分からなかった。沢音が近づいて古和谷の水が見えると谷に下り付くまで丸木の梯子を階段状に連ねた道となるが、材木がかなり腐って痛んでいた。古和谷は穏やかな流れで、飛び石で渡るが水が多いと靴を濡らす事になるかもしれない。
稜線上の 杉の巨木 |
尾鷲の展望 |
標高850m付近 |
橋 |
末端の 梯子道 |
参考文献
松浦武四郎,吉田武三,松浦武四郎紀行集(中),冨山房,1975.
松浦武四郎,松浦孫太,佐藤貞夫,松浦武四郎大台紀行集,松浦武四郎記念館,2003.
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