焼倉山
林道子之泊線から

子ノ泊山/蔵光山(906.7m)
浅里コース(やまびこ新道)

 1986年に開設された前半は沢沿い、後半は急峻な山の斜面を直登するコースである。山の斜面を登りきると焼倉(ヤケー)と呼ばれる切り立った岩尾根の上を熊野川を背に歩く。

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子の泊山 浅里コースの地図

 浅里は美しい農村だ。浅里の南寄り、熊野川に近い川原地の辺りからはこのコースのハイライトであるヤケーがそそり立っているのがよく見える。浅里から林道を登り、西谷を渡る西の谷橋で三叉路になっており、直進するのが林道子之泊線(小鹿谷林道)でそのすぐ先に登山口がある。西の谷橋の先と合わせて数台分の駐車スペースがある。


バス停

浅里

登山口

 西谷の右岸沿いに登る。はじめのうちは何本か並行していた山仕事の道を切り替えるかのように進んでは登り、また下りたりする。杉の落枝が多い。標高335m辺りの谷が少し東へ向きを変える辺りで左岸に渡る。左岸は暗い植林の中に低い柱状節理が間近にある。

 標高350mで対岸にナメリ滝が見える。簡単に滝の元へ立ち寄れる。ナメリ滝の名の通りのナメリの滝である。滝の直下から下段の10m程しか見えないが、左岸の登山道からは上に更に同規模の上段があるのが見える。

 ナメリ滝のすぐ上で右岸に戻る。この辺りから西谷の沢筋は巨岩が多くなる。植林の暗さと相俟って鬱蒼感が高まる。道は倒木に覆われたり水流に洗われて崩れたりして荒れている。途中にトチの大木があった。

 西谷の巨岩が少なくなり、標高420mでは右からの支流が土砂崩れを起こしており空が明るいが倒木のジャングルジムのような状態であった。標高480mの二股では地形図(2012年現在)では右股に道が入るように描かれているが、右岸からそのまま左股に入る。この二股に左から合流している小支流はルンゼ状である。

 軽い滝の音が聞こえてくる。間もなく左岸に渡った先が、詰の滝と尾根取付きである。詰の滝は10m前後の高さで「詰の滝」の名に相応しい奥まった感じがする滝であるが上の方は明るい。最終水場である。


最初の渡渉点

分かりにくい
箇所もある

柱状節理が近い

ナメリ滝
下段

離れると上段も見える
木の間越しのナメリ滝

鬱蒼とした
森の中の流れ

トチの木が
あった

420m右股
土砂崩れ

480m左の支流
ルンゼ状

詰の滝

 尾根に取付く。はじめはガレた浅い猛烈な急傾斜の谷地形である。詰の滝の上半分がチラリと見える。すぐに左側の小尾根に移り少し傾斜が緩む。小尾根に乗ると詰の滝の上流がナメラとなって流れているのが見える。標高600mで小尾根はヤケーの急斜面に吸収される。天然林で踏み跡も落ち葉で判然としない新道であるが目印テープは沢山ある。木の幹を掴みながらの急登である。標高700mに近くなると右側にヤケーの岩肌が見える。更に登って700mを越えるとヤケーの基部をトラバースする。斜面が立っているが掴む木は十分ある。

 トラバースは100m程で終わり、張られたロープにすがって岩肌を牛蒡抜きでヤケーの上に上がる。土壌の薄い急斜面に道が開かれていることで植生が薄くなっているのではないかと思う。いずれ焼けーの上を経由せずにトラバースを続けて浅里辻に登り、展望のあるヤケーへは浅里辻から往復して立ち寄るように道が付け替えられることになるのではないかと思う。ロープの下から見る限りではヤブの薄い斜面が北に続いていて、岩なども出ていないので今でもトラバースを続けて浅里辻かその西方に出られそうな感じである。

 ヤケーのヤセ尾根の上に出ても、ヤケーの頭へはまだ少々登りが残っている。ヤケーの頭も展望はあるが、少し下の方がすっきりと熊野川や雲取の山々が望める。ヤケーの頭はヤセ尾根だが両側にアカマツを中心として樹木が茂っており、落ちてもすぐに引っかかりそうではある。


すぐに詰の滝の
上が見える

落ち葉の多い
すべりやすい道

ヤケーの頭直下
ゴボウ抜き

ヤケーから
烏帽子山と熊野川

ヤケーの
岩尾根

ヤケーの頭から見る
子ノ泊山

 ヤセ尾根が終わり、少し登ると浅里辻(ヤケー分岐)である。桐原尾根コースと合流している。辻まで登り切らず左からトラバースする古い道の跡も見られる。浅里辻で左に入り尾根線上を辿ると少し下り、古い道の跡と合流した先の北側は地蔵谷左股の源頭で稜線上に七十五人塚がある。浅里辻から山頂までは気持ちのよい照葉樹林の道である。

 もう一登りで公団作業道に合流する。合流するコブは最後で左から巻くが、尾根線に忠実な踏み跡もある。公団作業道は尾根線に忠実ではなく、尾根線に忠実な踏み跡も別にある。しかしあまり変わらない。最後に急斜面で公団作業道から山頂への道に取り付いてすぐに山頂である。


七十五人塚

山頂間近の
七人塚

山頂より大峰山方向
左は大森山・玉置山
右は地蔵岳・笠捨山
右手前は一族山

山頂より大台ヶ原方向
中は白倉山・ヒヨドリ山
手前は楊枝川右岸の尾根



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(2002年12月9日上梓 2003年1月22日写真挿入 2012年4月1日改訂分割)