鉢伏山・長谷山 四反田から

鉢伏山の地図

 「四反田谷」という名はわりと新しいようである。木藤精一郎(1937)に仮称として登場する。細い谷間がポッカリ開けた箕面川への落合の対岸に四枚の田んぼがある。その下手から登るが、箕面川に村境があったので、四枚の田んぼと登山道の沿う谷は村が違った。四反田谷の南側の尾根から長谷山を経由するルートも合わせる。


★四反田から四反田谷を経て


四反田の滝

 四枚の田んぼの下手からコンクリの小さな橋で箕面川を渡って登山口である。箕面川ダム右岸の林道の入口から登山口まで、車道の対岸にも歩道があるが、山の斜面を登ってまたすぐ降りるので余計な体力を使わされる感じがする。四反田谷の道は自然研究路6号線と言う名がついている。

 登山口から右に折れ、山の斜面を徐々に登る。小さな谷を回って尾根の鼻を回り込んで、炭釜の跡がある。更に山の斜面を登る。雨の後など右下の四反田谷からから水音が聞こえる時がある。四反田の滝の音だが水の少ない傾斜の緩い小滝である。止々呂美村誌(1931)にある堂屋敷の「不動の滝」とはこの滝のことか。堂屋敷は四反田谷一帯の小字名である。

 また山の鼻を回り込むと小さな谷を渡る。四反田谷の源頭で滝の上で二股になっており、その左股を渡って右股に沿って登る。四反田の滝の上に水は殆どない。右股も一登りで渡って左岸を登る事になる。右股を渡る辺りまでは石がゴロゴロした沢地形があるが、それもすぐに無くなり丸い土の谷底を進むことになる。常緑樹の多い雑木林だったのが落葉樹が多くなる。傾斜も緩くなる。冬場は明るい。途中にまた炭釜の跡を見る。

 谷の詰めは斜面が立っており、何度がジグザグを切って道が付けられている。登りきると鉢伏山の南西の鞍部で四つ辻になっている。左に稜線を辿れば長谷山。直進すると、みのお記念の森へ。鉢伏山へは右に折れる。

 右に折れて平坦な尾根を辿る。少し進むと傾斜が掛かり始める。丁寧にジグが切られて掘り込まれた道である。手前のピークを尾根の西側からトラバースして送電線の下に出る。送電線の下は木も草も生えておらず、展望がある。西は六甲山と余野川右岸の長尾山の大きな砕石場、東は北摂霊園が見える。視界は広がるが送電線も絡み、ちょっと「いい景色」という雰囲気ではない。

 送電線の下が十字路になっており、山頂へは左へ折れる。直進は、おおさか環状自然歩道で明ヶ田尾山方面へ、右は梅ヶ谷へ下りる廃道で危険である。左に入って送電線下の荒地から雑木林の中に入るとすぐに山頂だが、展望が無く、際立って高まっている感も無く、ボンヤリした山頂である。地形図で標高406mと表示される鉢伏山は山頂一帯に標高400mの等高線の囲みが四ヵ所あり、その北方にもまだ390mの等高線で囲まれる高まりが幾つか続き、山頂のはっきりしない山であった。


登山口

すぐ尾根の鼻を
回る

炭釜跡

炭釜跡
中までよく残っている

斜面を
登る

四反田の滝
水が多い時

左岸に
渡る

峠直下の
つづら折れ

峠まで
あと少し

最後の登り
掘り込まれた道

山頂送電線下の
十字路

長尾山砕石場と
六甲山

★四反田から四反田谷右岸尾根・長谷山を経て

 自然研究路6号線の入口から箕面川ダム沿いに僅かに進むと左手に見える砂防ダムの谷から入る。見えている砂防ダムは二段見えていて下の段は越えると言うほどでもない低いものだが、二段目は右岸と左岸の両方に踏み跡が付いているが、どちらもはっきりしない上に滑りやすくて危ない。奥に更に三段目がある。三段目は左から越えるがこれも滑りやすく危ない。谷の入口から三段目の下までの左岸に黒いプラスチックによる階段が付けられているが、崩れたり埋まったりしていてあまり役に立たない。

 三段目の砂防ダムの上で谷を渡り、左岸の斜面に取り付く。崩れ易い土の急斜面の細くなった踏み跡に落ち葉が深く積もっており、危ない。一箇所岩場がある。ここにも黒いプラスチックの階段があるがかなり崩れている。

 尾根の上に出るとすぐ上に鉄塔がある。箕面川沿いの車道が見える。鉄塔の上で尾根の傾斜が一旦緩むが、その後はひたすら急な尾根線に付けられた階段を一直線に登る。階段は黒いプラスチックのものもあるが、鉄によるものが多い。入口すぐの砂防ダムの辺り同様崩れ易い地質でザレた小石が落ち葉と共に階段に積もり、滑り易い。階段の鉄棒は半ば埋もれているとはいえ飛び出ているので下りでの転倒には注意を要する。

 標高520m付近でまた傾斜が緩み一息つく。更に100m程再び一直線の埋もれかけた階段を登ると長谷山の頂上に出る。長谷山は南側が植林で暗く、北側も樹林であまり明るくない。

 長谷山から北へ尾根を辿る。長谷山の直下は尾根線通りに踏み跡があるが、やや西側に古い掘り込まれたウネウネと曲った路盤もある。長谷山の肩から四反田谷を詰めた峠までは平坦で、西側は植林、東側は雑木林で、東側が少し明るい。


砂防ダムを
越えて

左岸斜面を
登る

尾根の上に
出ると階段

鉄塔の足の下にも
石積み

階段

ずっと階段

長谷山山頂

峠へ

参考文献
木藤精一郎,六甲北摂ハイカーの径,阪急ワンダーホーゲルの会,1937.
小上「諄,止々呂美村誌,止々呂美村役場,1931.



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(2013年6月30日上梓)