奥の丸い山が
観音山
エンルム岬から

観音山(101.0m)

 様似町の山。アイヌ語名はソビラヌプリと伝えられる。カムイチャシともいうらしい。日高山脈えりも町内の観音岳はこちら。えりも町の観音山はこちら。昔の和名は「円山」だったが、明治28年に等じゅ院中興の僧、塚田純田が33体の観音を配置してから観音山と呼ばれるようになったという。

 2009年3月に登頂。

様似の観音山の地図

★スポーツ公園から

 山の裏手から舗装道路が続いている。山上台地に登り付くとカシワの大きな老木がある。山上台地一帯はカシワの林で自然でやさしい雰囲気だ。

 そのまま舗装道路を進むと立派な展望台とトイレがある。展望台からは様似港の眺めが良い。山頂まで行くとカシワ林の中でそれほど展望はない。この山はプリン型で、山上の平らな縁には三十三観音が配置されている。カシワの老木に戻り北方に進むと最高点に続いている。最高点にはアイヌの石碑がある。かつて、ここでアイヌ同士の戦争があり、その砦になったと言う。カムイチャシのチャシとはそういうことなのだろうか。


★西町から

 西町の一角から登山道が続いている。ジグの大きな緩やかな坂道で登りやすい。交差点からスポーツ公園方面に入って3軒目あたりの空き地の奥から入る。残雪の上に足跡はなかった。地元で親しまれていると言うわけではないのだろうか。


★山名考

 観音山の海側には白い大きな崖がある。様似町史では、ソ・・・滝、ピラ・・・崖、として「崖滝山」とする。ヌプリは山。「今は全くの涸れ水滝」と書かれているが、この標高では初めて人類が目にしてから一度もまともに水は流れていないだろう。こうした崖の形状と色は滝に例えられることはあるのか。また、「崖滝山」とまで無理に和名にはしない方が良い気がする。

 様似港の防波堤上には「ソビラ岩」という顕著な尖った岩があるが、これはソビラの向かいにある岩と言うことでソピラレプンケというのが本来の名らしい。様似町史ではソピラ・・崖滝、レプ・・海、ウン・・ある・いる、ケ・・もの、としている。

 観音山の裏手にスポーツ公園の平坦地が広がっている。公園造成の為に均したのかもしれないが、so paro[平らになっている所・の口]の転訛がソピラなのではないかと考えてみる。

参考文献
様似町史編さん委員会,様似町史,様似町,1962.
中川裕、アイヌ語千歳方言辞典,草風館,1995.



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(2009年4月20日上梓 2020年5月3日改訂)