中天狗(1317m)

 夕張山地の北西部に位置する鋭鋒。里から見にくく、登山道のある富良野西岳からは布部岳が邪魔して見えず、芦別岳から眺めるには少々遠い為、人目に触れることの少ない秘峰。しかしながら知っている人は知っており、比較的明瞭な踏み跡がある。崕山と同じ石灰岩の山のようで、花の時期に登りたい。


中天狗広域地図 踏めば砕ける黒い泥岩
踏めば砕ける黒色泥岩

 夜の汽車で富良野駅の1つ手前の島ノ下駅でSTB。翌朝に自転車を組み立てて出発。道道135号美唄富良野線を6q札幌方面に入り、尻岸馬内川に沿って左に分かれる尻岸馬内林道に入って、更に1時間漕ぐと、笠森と中天狗の間の1005mピークの東尾根の下の林道終点に着く。林道ゲートから歩いたとしたら1時間半程度だろうか。地形図の終点より伸びている。林道には入ってすぐに鍵付きゲートがあった。路面状況は非常によい。帰りは最高のダウンヒル。

 林道終点から沢歩き。岩は鋭いけれど、踏めば砕ける夕張山地に多い黒い泥岩で、スパイク足袋でも滑らない。作業道跡が川の更に奥まで延びていて、道床の残っている部分では踏み跡もある。直登沢出合まではゴーロながら両岸は岩壁が迫っており、作業道が作られる前はかなり風光明媚な谷であったと思われる。

直登沢出合
直登沢出合
門状の岩

 中天狗北面直登沢の出合は、沢に入ってから、初めて右から合流する沢だ。沢の落ち口は門のように岩が迫っていて(左写真)恐ろしい感じだが、水流は出合から見えている部分だけで、標高差でも水平距離でも数十メートルしかなく、門の所で湧き水になっている。その上はずっと土の涸れ沢で、苔がきれいだ。

 湧水のすぐ上で左への枝沢を分けるほかは、分流もなくルートファインティングも必要ない。地面には何となく踏み跡があって、人が入っている感じはある。三、四ヶ所、倒木や小規模な地すべりでヤブを漕いで回り込まなければならない所もあったが、たいしたことはない。傾斜は上に上がるにしたがってきつくなる。標高1150m付近で沢地形がなくなり、何となくヤブの薄い左寄りに登っていくと、稜線のお花畑草原の一角に出る。ヤブと言っても疎林で、傾斜がきついので木を掴みたいのに木が少なすぎる感じだ。地面は泥土で、他の人の滑った形跡や草を押し倒した跡が残っていた。赤テープは数本しかなかったが鉈目がいくつかあった。

 急傾斜のお花畑は道南の花の名山、大平山のお花畑ととてもよく似た雰囲気で、白い岩の露頭があり、この山が石灰岩であることを思わせる。水流がごく下の方にしかなかったのも大平山と同じだ。石灰岩が溶けて地中に穴があき、地下水の底が抜けてしまっているのではないかと思う。

 咲いていたのはウメバチソウとイブキジャコウソウのみだったがハナシノブやキバナカワラマツバの葉っぱが多く見られ、然るべき時期に登ればかなりきれいと思われる。紅葉は山頂付近と林道の周りの岩場で見頃だった。

 山頂は草地で鹿道と鹿の糞が散らばっている。崕山の良い展望台で箱庭を見るようだ。芦別岳は肝心の尖った部分はガスに隠れていたが、緩やかで広い夕張山地の主稜線に浮かぶ巨大戦艦のようだった。


北方 布部岳

南方 中岳(右)と芦別岳(左)

中天狗西面 from 崕山

 1915(大正4)年の三角点測量で付けられた三角点の点の記の振り仮名は「チユテング」。「なかてんぐ」と呼ぶのだとばかり思って、そう聞くことが多いような気もしていたが、はじめは「ちゅうてんぐ」だったのかもしれない。小天狗と関連するのだろう。大天狗は中岳か。


★晴れて花の時期は

 2007年7月上旬に中天狗に行かれたFuさん、Su夫妻、Siさんから晴れの花の時期のお花畑の中天狗の姿の写真をお借りしました。


Siさん撮影
「直登沢は雪渓で埋まり、登りも下りも疲れました。本流もデブリがすごかったです。6本アイゼンが役に立ち、4本の軽アイゼンでは慎重を要し、沢靴に取り付ける全面ピンスパイクの物ではかなりの慎重が必要でした。ピッケルを持って来れば良かったと思いました。」Fuさん談

「花を見たければそれなりの装備が必要かと」Su夫妻(夫)談

「手も足も筋肉痛です。登りはなんとか登っても下りは厳しかったです。」スパイク足袋のSiさん談

これは登山靴も必要かもしれませんなー(あまいものこ)
「アツモリソウもエーデルワイスもビッシリ!!を期待していったけど、見つけられず。でもシナノキンバイで黄色く染まったお花畑はとてもきれいでした。」Fuさん談

「沢地形が無くなってからは熊の糞があり獣臭が強く、山頂も鹿の街道と熊の掘り返しがあり、少しの間お邪魔させてもらったという感じでした。」Su夫妻(夫)談

「キリギシ山の隣で石灰岩質の山なので希少な花があるかと期待して登ったのですが、残念ながらありませんでした。」Siさん談

Suさん撮影

Fuさん撮影
「黄色のお花畑を見たときは元気になりました。久し振りに格好いい芦別岳と崕山も見れてうれしかったです。」Su夫妻(夫)談

「芦別岳が旧道から見るようにオベリスクのように尖って格好良かった。」Siさん談


トップページへ

 資料室へ 
(2002年9月26日上梓 11月16日修正 2007年3月11日写真一部挿入 2007年7月4日花の時期挿入)