ニセイカウシュッペ山の位置の図ニセイカウシュッペ山(1883m)
ニセイノシキオマップ川

 北大雪の最高峰。層雲峡から登るならこのルートが一番近い。滝場は「天国への階段」と呼ばれる快適な沢登りである。


ニセイノシキオマップ川の地図1ニセイノシキオマップ川の地図2

たかやまばすていのしゃしん 高山バス停を下りた所は路側帯が広くなっている。広くなっている真ん中付近から山の方に道があるが、これは行き止まりで使えない。しかし、中の荒地が広くて車を置くスペースとしては使えそうだ。広くなっている層雲峡温泉側の端から入る林道がアプローチである。林道は荒れていて、標高650m付近の本流の渡渉の橋が落ちており、ここまでも短いので国道のすぐ脇の荒地に車は置いた方が良いように思われる。

 橋が落ちているとは言っても渡渉は足袋なら問題ない。その先に更に道が続き、一回ある分岐は左に入り、殆どヤブに還っている道の終点が大きな最終堰堤。1997年に登った時は最終堰堤付近に堰堤を増設していてずいぶんきれいな道だったのだが、10年で道はすっかりダメになるものだ。

 最終堰堤から先、樹林の中の谷底の暗く変化の少ない沢沿いを辿っていく。河原は殆どなく、川岸にはイラクサが多い。1069mの二股の手前に小さなナメがあるが10mも続かない。1069m二股の間はゴロゴロした石が堆積している中にイチゴの蔓が茂っていた。左に入ってしばらくは石の堆積が多い。正面に「天国への階段」の架かる絶壁が見えてくる。既に稜線の目標であるローソク岩も見えている。1260mで一旦伏流。この辺りから背後に表大雪の景色が広がりだす。


稜線が見え出す(小槍)

大槍とローソク岩

振り返ると
表大雪がよく見える

峡谷の横の壁
花も多いし緑がきれい

 1300mで雪崩の下のようなガレの堆積となるが、少し登ると水流が復活する。すぐにF1が見えてくる。F1の上には「天国への階段」の上の階まで既に見えている。

 崖の下に着いてすぐF1。3m程度の小さな滝で左岸の上の方にハーケンなどがあるが、中から覚悟を決めて水を浴びて登った方が安全だと思う。1997年7月には伏流する下からF1の上まで雪渓に覆われていたのでF1を見なかった。

 F1の上でほんの少し急傾斜のガレ沢状を登り、お待ちかねのF2「天国への階段」。自分には、この階段に100mの標高差があるのかどうか判断できない。その名の通り段々になっていて、やや傾斜のきつい部分もあるがそのまま階段のように登り続けられる。上の方が傾斜がきついようだが登りやすいような気がした。

 天国への階段を登りきると沢は右に曲がり右岸から支流の滝が落ちてきてすぐにF3(10m)。取り付いてみたが自分には登れなかった。右岸に急傾斜ながら潅木と草付があり巻けるが、落ち口では狭く急な切れ落ちた草付から「し」の字で下りる(下りた先でやや登りながら横移動する)ことになりそうなので厳しさを感じた。木登り向きの潅木帯は上に続いているので、もっと上まで登ってから長いロープで懸垂という手もあるかと思う。

 F3の下で左への支流の滝を登ると、「とっておき北海道の山」にあるように、大槍の西側で登山道と合流する。1997年にこの筋を登ってみたところ、すぐに水流がなくなり、本に書かれる通り「水流がなくなったあたりから脆い岩質にな」り、「脆い個所が多」く、以下に続けるローソク岩の直下に登る本流より危険な筋だったので入らない方が無難でないかと思う。ヤブ漕ぎもローソク岩経由の方が大幅に少ない。


F1

F2 天国への階段(の一部)

F3

 F3でずいぶん水量は少なくなるが、更に上に階段状の岩盤が続き、水も稜線間近まで涸れることはなかった。まもなくローソク岩が再び見えるようになり、ローソク岩のすぐ下で岩盤の露出がなくなり、潅木の混じる草原のローソク岩の右側を登ると稜線に出る。稜線に出ると東側にはハイマツが生えていたが3mも乗っ越して下ると東斜面のお花畑に出た。その数m下に明瞭な踏み跡が小槍とニセイカウシュッペ山登山道を結んでいる。このお花畑の中の踏み跡で大槍の東側を巻き、登山道に出る。後はすぐ山頂である。


視界が開ける

稜線間近

ローソク岩

アンギラス(南側)

★川名考・山名考

 ニセイカウシュッペ山はアイヌ語でnisey ka us pe[峡谷・の上・にある・もの]とされる。ニセイノシキオマップ川はnisey noski oma p[峡谷・の中央・にある・もの]とされる。ニセイノシキオマップ川は層雲峡のほぼ中央で石狩川に合流する沢である。この川より下流で、層雲峡の右岸の崖が消える地点で石狩川に合流するのがnisey kes oma p[峡谷・の下端・にある・もの](現在のニセイテシオマップ川)で、大函のすぐ上手の層雲峡が始まる地点で石狩川に合流するnisey caro oma p[峡谷・の口・にある・もの](現在のニセイチャロマップ川)である。

 その峡谷の上に聳えるのがニセイカウシュッペ山であるが、なぜ同じ峡谷の対岸の大雪山はその名で呼ばれず、別の名(nutap ka us pe)なのだろうか。上に挙げた三つの崖に対する位置を示した名の川が、どれもニセイカウシュッペ山のある石狩川右岸からの合流なのはなぜだろうか。石狩川の左岸にも崖はあって、同じような規模の川は幾つも層雲峡の中で合流しているのに。

参考文献
北海道の山と谷再刊委員会,北海道の山と谷 下,北海道撮影社,1999.
三和裕佶,とっておき北海道の山,東京新聞出版局,1995.
山田秀三,北海道の地名,北海道新聞社,1984.
萱野茂,萱野茂のアイヌ語辞典,三省堂,1995.



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(2008年8月27日上梓)