シドニ川(ストウニ川)河口付近の地図 |
山名考
寿都似山 |
すとうにやま |
現在(2015年)のシドニ川(ストウニ川)の水源の山と言った意味合いである。
「寿都似」は難読である。国土地理院は読みを「すとうに」としている(2015年現在)。
最新(2015年)の二万五千分の一地形図では「シドニ川」の名のみがあるが、手元の五万分一地形図では岩知志図幅(平成15年発行)では「シドニ川」、幌尻岳図幅(平成5年発行)では「ストウニ川」となっている。
シドニ川(ストウニ川)は松浦武四郎の安政5年の記録に「シヨトニ」また「シユトニ」とある。明治26年の北海道実測切図では「シユト゜ニ」となっている。この「シユト゜ニ」に漢字を当てたのが「寿都似」であったと思われる。松浦武四郎の記録では「其名義不解なり」とあるので、地形から音に近いアイヌ語を考えてみる。
シドニ川(ストウニ川)は本流である額平川の河岸段丘の平野が切れて、額平川が完全に山川となる辺りで額平川に合流している。額平川はシドニ川の合流地点付近からが山の川であり、合流地点付近は山の「麓」である。このことを言うアイヌ語のストゥウニ sutu un -i[ふもと・に付く・する所]がシドニ/ストウニの語源であったと考えるが、松浦武四郎の安政5年の額平川筋の聞き書きの支流の名は今の地形図に落としにくいものが複数ある。北海道実測切図の地名も、明治前期の測量時に採集したアイヌ語地名を記しているとも考えられるが、松浦武四郎の蝦夷地調査の集大成である東西蝦夷山川地理取調図を先行する地図として参照して地名を拾って明治期のアイヌ語理解で書き換えて加えていたのなら、シドニ川/ストウニ川の記載位置が松浦武四郎の聞き取ったシヨトニ/シユトニの本来の位置とは異なることも考えられそうである。額平川筋の地名全体を更に考えたい。
参考文献
松浦武四郎,秋葉實,戊午 東西蝦夷山川地理取調日誌 下,北海道出版企画センター,1985.
松浦武四郎,秋葉實,松浦武四郎選集6 午手控2,北海道出版企画センター,2008.
北海道庁地理課,北海道実測切り図「沙流」図幅,北海道庁,1893.
田村すず子,アイヌ語沙流方言辞典,草風館,1996.
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