幌内丸山(985m)

 日高町サンゴ渓谷の奥にある山。それほど展望は良くないが、登山道がある。2003年の台風10号で沢沿いの登山道は大きな被害があったが、何とか歩けるくらいまでは復旧していた。


★林道コース下部

 国立日高少年自然の家の奥の、不自然に積まれた土砂の山を越えた所に駐車場と渓谷入口のゲートがあり、そこから林道をたどってサンゴの滝に向う。控えめな自然解説の板がポチポチと現れる。2003年の台風10号で大部流されたり埋もれてしまったりしたようだ。以前はもっと有ったらしい。入口の土砂の山も台風10号の被害の跡だ。

幌内丸山の地図1幌内丸山の地図2

 5分ほどで涙の滝。涙っぽい。


★沢コース核心部

 ずっと林道を歩いていくと、北日高岳(スキー場の山)へのコースの分岐が2回あるが荒れているようだ。沢を二度渡って、林道がU字カーブで山の斜面に入るところが沢コースと林道コースの分岐である。沢コースに入ってすぐ、台風10号で河道が変わったのだろう、踏み跡がなくなり、さすが夏山ガイド4巻エリア、「沢登りスタイルの方が有利である」状態が沢コースの前半はずっと続く。ただとびとびに目印テープはあった。

日高町役場のケンさんの解説1
サンゴの滝
 「さんごの滝は戦時中に造られた人工の滝ですが、今回の大水(台風10号)で滝への導水路が決壊し、滝に水が流れない状況になっています。造られた当時は『八曾出(やそで)の滝』と呼んだようですが定着しなかったようです。八は八田鉱山、曾は工事主任の曾木、出は所長の出垣から。昭和45年に付近から六射さんごの化石が見つかり現在名になりました。」

 地図にある、冬にはアイスクライミングがなされるというサンゴの滝は、どこにあったのかわからぬまま通過。

 次の見所「秘密のトンネル」は大昔の林道の跡の様だが、このトンネルの上流側にも流木が溜まっていてトンネル内にも洪水が押し寄せたようだ。沢コースの後半は作業道跡が多いが、枝沢を横切る所はことごとく沢が深くえぐれている。このあたりはいろいろな岩が見られる。白く重いのは石灰岩。昔のサンゴで沢水の飛沫で濡れて表面が溶けてツルツルになった鍾乳石のようなものもある。青くて脆く、蛇の皮の様な緑の紋様の入った岩は蛇紋岩。このあたりはまた蛇紋岩の風化した蛇紋粘土も多く、沢床に踏むと足形のつく粘土があるのはペタペタとして珍しい歩き心地だ。赤いのは赤色チャート。昔のプランクトン「放散虫(現代もいる)」などの死骸の珪酸質の殻が、気の遠くなるような長い期間を経て海底に降り積もったものが押しつぶされて岩になったそうな。

 最後の680mの林道に上がる手前で再び大きく地形が変わっていて、倒木が深い谷に掛かっていて沢伝いにいけないのでヤブ漕ぎで越えると、林道のロッパチ広場。ベンチとテーブルがある。


日高町役場のケンさんの解説2
秘密のトンネル
「手掘りのトンネルも戦時中に鉱石運搬用に掘られたものです。この界隈はクロム鉱石の宝庫でした。またさんごの沢では銅や石綿も採掘されていました。これを効率よく運搬するために沢を埋め立て道路にしたのです。で水を沢以外に流すためトンネルを掘り人工の滝(サンゴの滝)ができたというわけです。滝上の水路トンネルも手掘りで内部に1m程の段差があります。鉱石は現在の少年自然の家付近からケーブルで沙流川を渡り、日高の市街地付近で集積され運搬されていました。」

★ロッパチ広場より上

 ロッパチ広場から林道を横切ってさらに沢伝いに進むとまた沢筋が地すべり崩壊していて、道がどこだかわからない。しかし針葉樹林の頂上台地まで上がると、さすがに登山道は明瞭になる。地下水の水位が高いのか、流水の見えている木の洞が多く、コロコロと音がしている。

 2号線コースとの分岐のピークを越えると少し下って笹原の草原を横断する。最後にもう一登りで山頂につく。

 展望は東側が開けているが、少し離れた木が少々オジャマですっきりとは見えない。西側は針葉樹林で暗い。

 帰りは途中のルート案内板にあった、サンゴの沢の北の尾根を辿る2号線登山道に行ってみた。樹林帯の斜面はまだいいが、平坦で笹原になった部分はかなりの笹薮に覆われ、視界の悪い時は迷う恐れが大いにあった。残念ながら廃道の運命だろう。林道までは伝ったが、そこより下の2号線は更に笹薮が深いので、やめて林道コースで下山した。

日高町役場のケンさんの解説3
山小屋2軒
「林道途中にある山小屋は少年自然の家の施設で、学校の林間学校に使われているようです。冬もよくかんじきで小屋まで行って泊まっています。中に毛布や囲炉裏があります。薪はありますが水はありません。」

 2号線の下で、大きく地すべりして道がなくなっているが、ロッパチ広場より下は重機でならしていて通行に問題はなかった。途中には山小屋が2軒あるが、あまり使われていないようだ。下の小屋はトイレが開放されていて非常にきれいであった。途中にアスレチック場があるが、既にヤブに覆われ、老朽化の為使わないようにという旨の事が書いてあった。

 日高国際スキー場の北日高岳も登山道があるようだ。途中で分岐していた二本の北日高岳登山道のうち下側の「林道コース」は藪っぽい感じだった。もう一本は岡春部コースと言う名前だったが岡春部は一山向こうの地名なので、どうなっているのかわからない。

日高町役場のケンさんの解説4
サンゴの滝は復活する?
「平成4年の大雨でもこの導水路が決壊して土嚢で補修したんですが、今回(2003年台風10号)はそれを上回る被害で簡単には補修できない状況です。よって冬に凍って苫小牧山岳会さんなどが訓練に使われていましたが、今シーズンは水がないので使えません。来年(2004年)、導水管を敷設する予定です。」



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(2003年11月8日上梓)