屋久島のヤブ漕ぎを阻むヤブ
―ヤブ漕ぎ沢登り事情―
屋久島のヤブ漕ぎを阻む要素。

巨石
大きな川沿いのヤブの中には必ず巨石がある。巨石の位置が上流にあるほど強い川だということだが、大概巨岩で溢れているの中下流部である。河原にある巨石でも越えていくのが大変なのに、足元の見えないヤブの中にあると隙間に落ちそうで危険。登って越えていくのも大変。上流に行くほど少なくなるのは小学校で教わったのと逆のような気がする。

巨岩が上流に行くほど少なくて下流の方が多いのは、その岩が上流から流されてその位置にあるのではなく、岩の生まれた場所が、そのある場所とさほど離れていないと言うことなのかもしれないと考えてみる。基盤岩の上部の、地中で風化したコアストーンの周りのマサが、下流域ほど集まってくる水流に流されてコアストーンがよりあらわになっているということではないだろうか。
ホウロクイチゴ
かわいい顔をしてズボンを引き裂く陰険なイチゴ。ヤブの入口には必ず待ち構えている。光が好きで、ヤブの内側にはあまりない。同類項に葉っぱの丸いフユイチゴがある。実はならないがやはりツルで棘のあるサルトリイバラも多い。樹冠が開けたら要注意。屋久島のイチゴは種類が多くて他にもトゲのあるイチゴはあるが、ホウロクとフユが特に性質が悪い。実のなる季節はヤブ漕ぎよりイチゴ狩りの方が良いかも。花はしわくちゃなことが多い。
コシダ
私の固定観念では、シダというものは地面から新芽が出て冬には枯れるものだというものだったのだが、屋久島を含む南の国では古い葉の間から新芽を出して、一年を通して大群落を形成し、古い葉でお互いを支えあって、人間の背丈を越えるヤブをなす。崖では葉のすぐ裏から根を出して、垂直でも吸着する。枯れても痛い。同類項にウラジロがあり、コシダよりやや暗い所に生える。あまり高山にはないようだ。シャツの中に入ると痛い。
白い目印ビニールテープと紛らわしい菌類
暗い照葉樹林下で枯れた木の蔓などにはびこって目立っている菌類。絹皮病菌と言い、カビ・キノコの一種で江戸時代から「山姥の休め木」という名で知られていたという。常緑広葉樹に発生する腐朽菌で、木にとって肺炎のような病気のようなもの。踏み跡を見失っている時にこれを見つけると目印用のテープかとだまされて、ぬか喜びすることになる。
アリドオシ
屋久島に関わらずあるが、屋久島では1000m以下のヤブの下の方でズボンを突き通す。

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