シューパロ岳(1457m)芦別川北面直登沢
標高1300mまで

 シューパロ岳は後芦別山列の一峰。恐竜の背のような南稜が芦別岳からよく見える。時間切れで山頂まで行けなかったが、残った部分はネマガリタケのヤブ漕ぎ小1時間なので途中の様子は参考になることもあるかもしれないと思ってページを作ってみた。


 国道452号線から芦別湖への林道に入る。芦別湖を過ぎると二又があり、左は崕山方面に向う惣芦別林道、右がシューパロ岳に向う奥芦別林道である。奥芦別林道は二又にすぐゲートがありダルマ錠で施錠されていた。林道は非常に長くアップダウンもあり、自動車でも最奥まで1時間は掛かりそうだ。

 地図上の林道終点の2q程手前に土場があり、そこまでは比較的整備されている。そこから終点までは、轍には苔が生え、両側から高茎植物が少しかぶるようになるが、岩が落ちているとか、崩れていると言うことはなく、普通乗用車でも問題なく走れそうだ。終点を含め数ヶ所に道幅が広がっている所があり、転車も行き違いも可能である。

 林道終点の先にも道の跡が続いているが大きな崖の下であり、落石がたまっていて危険である。無理に跡を辿らず沢に入った方が安全で早いように思われる。

シューパロ岳北面直登沢の地図 国土地理院の地形図では、この先長い距離が函地形のように崖記号が沢沿いに延々と続いているのが描かれているが、顕著な岩の崖は無かった。沢沿いに2m程度の岩の露頭はたまにあるが、崖と呼べるほどのものではなく、川底は平らに小石が敷き詰められ、川岸には草むらの茂る普通の早瀬が続いているだけであった。シューパロ岳の南東にある夕張川上流の支流シュウパロ川も同様に崖記号が続いて描かれているが、難無く通過したという噂を聞いたことがある。この辺りの地図作りはどうなっているのだろうか。

 沢の水は冷たく豊富だが、粘土質で少し青っぽく濁っているように見える。沢床は大きさの揃った小石ばかりで、小石の間には粘土質が詰まり石が動かず歩きやすい。

 直登沢は黒色泥岩のガレを押し出していて、水が青っぽいことはなかった。

 しばらくは何もないガレ沢である。ガレの堆積夥しく、水線を離れても平らで歩きやすい。

 東に屈曲している所に倒木による土砂溜りがあり、落ち口を登りきると一見小さな上高地のようで爽やかだが、落ち口付近は底無し沼状態であった。数mだけだが面倒くさがらずに沢中ではなく岸辺を歩いた方が良いように思われる。

 更に登っていくと、次第に岩盤が現れ始める。そして数m程度の滝が続くようになる。直登出来るものが多いが、自分には登れないものもあった。周りは急な草付き泥壁で、巻くのは面倒だ。1つ、巻き終わった後で沢に戻る際に懸垂下降した滝があった。下る時は、大抵の滝は数mの高さなので、クライムダウン+飛び降りで済むが、5m以上のものは懸垂下降が早そうだ。支点になる樹木は乏しい。岩には割れ目が多く、スパイク足袋でも滑らないがホールドは少なめの印象。下降時に、泥壁をかかとのキックステップのつもりで滝の脇を降りようとしたが、泥が柔らかくて結局泥壁の尻滑りと言う不本意な下降も何度かあった。

 最後に5mほどの涸れ滝の下で水が始まっている。この滝を登るのが山頂北面直登沢本流だが登るのがどうも急峻で難しいので、数m戻ってナメになって合流している右からの支流に入った。

 この支流もすぐ水が終わるが、その先もツルツルの涸れたナメ滝が続いている。周囲は相変わらず樹木に手が届かない泥壁草付きで傾斜がきつく、彫刻刀の三角刀で削ったような地形である。

 標高1250mで沢形が終わり、ガレがなだれ落ちている高茎植物の草原に出る。これが北西尾根稜線まで広がっている。草原だが傾斜がきつくて直登しづらいので周縁を樹木を頼って登った。稜線上は濃いネマガリタケのブッシュになっていた。1300m地点は小さな岩峰になっており、展望が開ける。

 天候はガスだったが、たまに雲が切れて山頂と山麓の様子が見えた。山頂まではあと小1時間もヤブを漕げば山頂に着けただろうが、時間切れで引き返すことにした。

 下山は北西面沢を考えていたが、登りが思いのほか大変で怯んでしまったので、初見の下りを避けて登ってきた北面沢を下りることにした。

 林道終点から山頂までの距離は、他の人が登ったと聞いていた西面直登沢より短くて早いかと思ったのだが、距離が短い分、急峻で登りづらかったというのはあるかもしれない。

シューパロ岳遠景(礼振峰から)

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(2005年9月15日上梓)