琴岳の位置の地図

琴岳(245m)

hiroyasuさんの御報告


★山名考

 明暦の頃の作成と見られる屋久島大絵図に「ごとふ山」とあるのが古いようである。

 永里岡(1998)は宮之浦の小字「後琴(うしとんごと)」と「大琴(おおごと)」について、「琴」の部分を「ごとわら」の「ごと」で、ごつごつした岩山・岩石が累積した岩山を指すとする。「ごと」は長野県の一部や福井県などで山中の岩場を指すという「ごつ」と同じものと思われる。ゴツゴツしていることの擬態語なのだろう。

 ごとふ山の「ごと」も、ごつごつした岩場のことかと考えたが、hiroyasuさんの記録からは岩がごつごつしている様子が窺えない。

 中央に近い所の言葉で言えば「うしろのごつ」の「後琴」の第3音節が「と」になっているように、「ごとふ山」の「と」も「ろ」で、宮之浦の集落に近い里山の低山である琴岳の姿を「平地にある小高い所(くろ)・の目立っている所(ほ(秀))」ということで「くろ・ほ」と呼んだのが訛ったのが、「ごとふ」ではなかったかと考えてみる。「くろ」のことを「ぐろ」と言う地方はあるようである。

参考文献
屋久町郷土誌編さん委員会,屋久町郷土誌 第1巻 村落誌 上,屋久町教育委員会,1993.
永里岡,屋久島の地名考,永里岡,1988.
楠原佑介・溝手理太郎,地名用語語源辞典,東京堂出版,1983.
中田祝夫・和田利政・北原保雄,古語大辞典,小学館,1983.



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(2004年10月9日上梓 2017年7月25日山名考追加 2023年10月21日改訂)