半面山・雲峰山 熊の沼沢
芦別岳周辺のバリエーションルート(!!)。
ユーフレ小屋からユーフレ沢の川向こうが熊の沼沢の出合である。ユーフレ沢本流に比べると熊の沼沢の水量はかなり少ない。はじめのうちは伏流気味である。
しばらくガレの沢を行く。傾斜はあるが歩きやすく、快調に標高を稼ぐ。滝もない。沢の周りは大きな崖や巨岩があったりして探検している感じがする。
標高760mの二股の出合は幅2mほどに押し迫った、深いゴルジュ状地形になっているが、中はガレで水量も少ないので問題ない。出口付近にチョックストーンがあるが、問題ない。
この後は、3mほどの小滝がいくつか現れる。また、チョックストーンも同じくらい現れる。滝の周りは草付きの泥壁のことが多く、滑って登れないので巻きづらいが、どの滝もシャワークライムで登ることが出来る。「芦別岳は枕状溶岩」とは聞くのに登山道では殆ど目にしない枕状溶岩らしきものが沢沿いの崖の中に見られる。
沢の向きが南西向きに変わると五稜の岩峰が朝日に輝いているのが見えて感動的だ。まもなく中間の30m滝に達する。この滝はすぐ下の5mと合わせて左岸の沢地形の草付から巻く。30mというのは「北海道の山と谷」にある表現だが、20m程度のような気がした。下の5mの滝の下には座るのにちょうどいい岩があった。瀑風が涼しくて良い休憩場所である。下の滝と30m滝は曲がっているので、なかなかうまい具合に写真が撮れない。滝のそばにはミヤマオダマキが咲いていた。巻くのに15分ほど掛かった。
滝の上は雪渓になっていた。雪渓が済んでもしばらく同じようなシャワークライムな小滝とチョックストーンが続く。再び雪渓が現れ、この雪渓の下が水源だったようで、この雪渓より上で水量がかなり少なくなる。雪渓を下りる所が5mほどの泥壁でザックがかなり汚れた。
![]() ゴルジュ状 |
![]() シャワークライム |
水量の少なくなったガレ沢を登っていくと谷が開け、最終二股である。正面には右股に50m大滝が見えているが水量は少ない。左股はガレのまま半面山に突き上げているそうだがもう水はない。
50m大滝は下35mと上15mほどの二段に分かれていて、「北海道の山と谷」では「1段目は右岸を、2段目は左岸を快適に攀ることが出来る」と書いてあったが、1段目の25mあたりが恐くて、結局下まで降りて左岸のヤブを巻くことにした。巻くのに要したヤブ漕ぎは30分。
滝の上は穏やかな滑床のせせらぎになっている。すぐに終わり、小さな滝壺と水が湧き出しているお花畑があり、ここで大休止。空が広くて気持ちよい。この滝壺の滝は湿っているだけだが、その上にも僅かに水が流れている。それもすぐに終わり、水流がなくなると赤っぽいゴロ石の緩い沢地形を5分も辿っていくと、熊の沼のすぐ横の芦別岳新道に出た。地形図を見た印象より、50m大滝銚子口から新道に出るまでが長い気がする。
帰りに半面山付近の熊の沼沢方面の斜面を注意して見ていたら、笹がかぶっているものの明瞭な踏み跡があった。ただ上がるだけなら最終二股左股からこの踏み跡で新道に早く上がる人もそれなりにいるのかもしれない。「北海道の山と谷」にあるようにユーフレ小屋への下降路として、残雪期でなく無雪期でも使う人もいるのかもしれない。
![]() 30m滝 上から霧が吹き出ている |
![]() 50m滝 水が少ない |
参考文献
北海道の山と谷再刊委員会,北海道の山と谷 上,北海道撮影社,1998.
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