ペテカリ山荘〜神威山荘連絡路(峠の沢)

 ペテガリ岳の西登山口の入り口に当たるペテカリ山荘への車道は日高横断道の工事を反対派に見せたくないので通行止めになっており(建前は雪解けによる崩壊の修理だが、全く開くことがないほどに修理が必要な道路なら自然破壊以前に使えない道路を大金を投じて作ってしまったということだ)、進入すると処罰の対象となることも考えられる。


補記2007/10月・・・ 2003年に日高横断道の建設凍結が決まり、一時はペテカリ山荘の8、9q手前までマイカーで入れるようになって連絡路を使うより、そこまでマイカーで入った方が早くペテカリ山荘に着ける状況になり、連絡路は再び役目を終え、ヤブに戻っていく運命かもしれないと考えていたが、この途中まで完成した道は森林管理署の車は走るのに一般者は歩行すら禁止される、ただの林道だった頃よりタチの悪い訳の分からない道となり、事実上使えなくなった。鍵も貸してもらえないし、ダムがあって沢通しでも登れない。なのに以下の連絡路で歩いてペテカリ山荘に着くと釣り人の自動車を見かけたという声をよく聞く。ペテガリ岳へは西尾根コースで6時間(北海道夏山ガイド4巻より)の登山となる。それでも水が随所で得られるだけに、登りだけで12時間近くかかる東尾根コースよりは1日多く必要でもこのコースの方が楽ではないかと思う。


ペテカリ山荘と神威山荘の間の地図1ペテカリ山荘と神威山荘の間の地図2

 現在、ペテカリ山荘に至るには、神威岳登山口の神威山荘から峠越えしていくルートが使われている。これは昔の資料にはあったが、この時代に再び脚光を浴びている。

 このルートを使うと3,4時間増しになるが、ペテカリ山荘までは水が得られ、往復1時間は掛かるという近づきにくいらしい水場しかないという12時間近く掛かるペテガリ岳東尾根コースよりは楽にペテガリ岳に登れる。但し、ペテカリ山荘寄りの林道歩きの部分を除くと、沢登りスタイルの必要なコースである。またペテガリ岳は楽な西尾根コースでもかなりのハードコースで、神威山荘から日帰りで往復というのは殆ど無理と思われる。

 神威山荘の約700m手前の左への林道の分岐(1000mの所にも分岐があるので注意)から入って沢を渡っても良いが、神威山荘前の小沢を下って本流に下り、右岸を歩いて目的の沢の合流点まで行っても良い。本流沿いを行く場合、途中に窓のような所があって少しショートカットできる。林道の分岐のすぐ先には数台の自動車を停められるスペースがあった。

 目的の沢(峠の沢)沿いには沢が細くなるまで、まだしっかりした林道跡、作業道跡が残っていた。分流には一応赤テープがついていたが、地形図を見ながら行くべきだろう。途中に一つある小さい滝は左から巻く、ごくやさしい沢登りだ。作業道の残骸はこの滝の手前まである。

 鞍部付近は笹薮漕ぎ10分弱で、西寄りから上がって鞍部を少しだけ東よりに移動しそこから数mのヤブを下りて沢に入るのが楽なようだ。ここ数年の通過者の増加でヤブは次第に薄くなっているようだ。こちらの沢は小沢ですぐ終わる。

(補記2007/10/17)
 2007年10月にここを越えた札幌在住のミード夫妻から、最短の鞍部より、峠の沢の540m二股を左に入った200mほど西の鞍部を越えたほうが比べてみると標高はわずかに高いけれど、全体的に傾斜が緩く踏み跡もハッキリし、現在では多く使われているようで歩きやすいとの情報をいただいた。ありがとうございます。地図ではその鞍部を「鞍部(峠)」として記入し直した。また、ニシュオマナイ林道から峠への枝道(作業道跡)の分岐は伐採作業でブルドーザーがかき回し、かなり分かりにくくなっているそうだ。或いは神威山荘迄行ってから小沢地形をニシュオマナイ川に下り、沢通しで枝沢(峠の沢)へ向かった方が確実なのかもしれない。神威岳登山道の最初のニシュオマナイ川渡渉点まで遡ってから入渓すると途中に滝場があって面倒なようだ。それとベッピリガイ川は増水しやすく、ベッピリガイ川沿いの林道は大雨の時は水没する箇所が多いので、路盤上でのビバークは危険であろうとのご指摘もいただいた。

 ベッピリガイ沢沿いの平坦な林道になると二ヶ所ほど帰りに間違いそうな分岐(小沢を渡る所)がある。

 ベッピリガイ沢流域はクマの気配が濃厚だ。もちろんこの地域一帯、神威山荘付近を含めて移動しているのだろうが、山間に残された珍しく人のいない平坦地だけにクマにとっても居心地がよいのだろう。

 ペテカリ山荘は水道の調子の悪いことが多いようだ。登山道沿いの沢のすぐ上流から湧き水を引いているので少し手を加えると一晩くらいは持つようだ。また、山荘前広場の上手側に湧き水のような冷たい池があった。ベッピリガイ沢沿いの川に囲まれた地形は専門用語で繞谷丘陵といい、ここの繞谷丘陵は昔形成された後、この地域が隆起したので現在のペテガリ沢とは幅の違う広いベッピリガイ沢に囲まれた繞谷丘陵として残ったのだそうだ。


〜ペテガリ西尾根登山道について〜

 ペテガリ岳の西尾根登山道が、はじめはジグを切っているがそのうち直登になってしまうのは、道を作った業者が途中でジグを切るのが面倒になって直登にしてしまった・・・という逸話(臆説?)を読んだ。一方で緩やかな斜面を登るこのジグの2ターン目から3ターン目にかけては登れば分かるが要らないジグのように思われる。山道はジグを切るものと言われて必要がないのにジグを切って作られた感じがする。緩やかな尾根上1050mや1293mのコブも稜線近い斜面で傾斜は緩く広いので適当に巻いて少しでも登り返しが少なく済むように越えれば良いのに、尾根筋に忠実に道がつけられていて遥かなる山の名声を高めている。

 最終コルから西に入るペテガリ西沢源頭や東に入るペテカリ川C沢源頭は比較的安全に水が取れそうな気がするが、どうだろうか。山上でどうしても水が必要な場合、山頂からペテガリ西沢源頭に下りると水が得られるとどこかの資料で読んだ気がするが思い出せない。

ペテガリ岳の写真(2枚)

参考文献
北大山の会,日高山脈,茗渓堂,1971.
梅沢俊・菅原靖彦,増補改訂版 夏山ガイド4 日高山脈の山々,北海道新聞社,1994.
今村朋信 et al.,カラー北海道山のガイド,北海道撮影社,1969.
三和裕佶,とっておき北海道の山,東京新聞出版局,1995.



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(2003年1月29日最終修正 2003年5月19日補記 2007年10月17日補記)