ザンギからジンギスカン

 北海道で下味を濃いめに付けた鶏肉の唐揚げをザンギと呼ぶ。信州では下味を濃いめに付けた鶏の唐揚げを、山口県の辺りでは下味を濃いめに付けた大柄な骨付きの焼き鳥を山賊焼きという。

 下味を濃いめに付けるのは醤油や味噌の醤である。「醤(じゃん)・揚(あげ)」の転が「ザンギ」、「醤(ちゃん)・漬(づけ)・焼(やき)」の転が「さんぞくやき」と考える。岐阜県東部の漬け込み鶏肉鍋焼き料理の「けいちゃん」も「鶏(けい)・醤(ちゃん)」だと思う。

 「けいちゃん」の元は大正から昭和初期の羊肉の調理法だったという。気になるのは今も羊肉で同じ頃の発祥らしい、濃い下味を付ける北海道の漬け込みタイプのジンギスカンである。醤(じゃん)に漬けて下味を付けることを割下(わりした)のように呼んだ「「醤(じゃん)・漬(づけ)・下(した)」の転が「じんぎすかん」だったのでないかと考えてみる。



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(2020年11月1日上梓)